2021.06.04

とことんコーヒー好き

水はコーヒーの風味に影響をあたえるのかのつづき

 

茅ヶ崎にある老舗旅館で利きコーヒー

 

  • またしてもコロナ禍で迎えることになってしまった、2021年のゴールデンウィーク。緊急事態宣言発令で、旅行に行くことはもちろん、不要不急の外出を控えたために、レジャー、外食なども我慢している人もたくさんいると思いますが、ご多分にもれず、僕もそのひとり。右と左で湧き出る水の水質が違うという、世にも奇妙な水が湧き出している水源地を目指して、訪れる予定だった東北への旅は、残念ながら中止となってしまった。またまた、そんなこと言って、元から水汲みのためにはるばる来たぜ東北〜にまで行くつもりなかったでしょ? と周りからは懐疑的な見方をされているかもしれないけれど、これは真実です。
  • さて、話は変わるけれど、神奈川県茅ヶ崎市に、茅ヶ崎館という老舗旅館がある。茅ヶ崎館についての詳細な説明をすると、非常に長くなるので、また別の機会にすることにして、その旅館内には僕のスペシャルティコーヒーを飲むことができる「珈琲サロン」がある。僕はそこで普段コーヒーを淹れている。始めたのは今年のゴールデンウィークから、珈琲サロンとしてはまだ新しいが、茅ヶ崎館といえば創業1899年。創業からすでに100年を超える老舗。茅ヶ崎ならずとも、神奈川県、いやいや日本全国、そんなことはないでしょ、世界に名を馳せる名旅館だ。コーヒーや水の話をする前に、茅ヶ崎館についての説明が必要になるくらいに、格式のある旅館だ。それならコーヒーや水の話はいいから茅ヶ崎館の説明をしろっていう人もいるかも知れないけれど、前述した通り、こちらの情報は別の機会に。ただし、気になった方はググれば情報は沢山出ているので皆さん自分で調べてください(ーー;)。そうは言っても、そこにいなければ知り得ないこともあるので、近いうちに改めて詳しく説明しようかなぁ〜(⌒-⌒; )。
  • それにしても、なぜ、そんな老舗旅館で、縁もゆかりもなさそうな、何処の馬の骨ともしれないやつがコーヒーなんか淹れてるんだ⁈  という疑問もでるでしょう⁉︎ それにも近いうちにお答えしましょう。まぁとにかく、人生はどこでどんな人と出会い、どう繋がっていけるかなんてわからないもの。実際、僕がここにコーヒーの話を書くことができていることもそうだ、その出会いとか繋がりが大切なんだなぁと実感させられている。皆さんも小さなきっかけを見逃さないで。さて、出だしの起の部分はかなりの文字数を稼いだので、そろそろ次の承へと移ることにしよう。

茅ヶ崎館珈琲サロンは何か新しいワクワクを生み出すための場所。

 

読者からの思わぬサプライズは羊蹄山の湧き水

 

  • ということで本題です。今回の話のテーマも水。えッ⁉︎老舗旅館でコーヒー淹れてる話から、いきなり水⁈ って脈略がないでしょ? と思いましたよね? そうなんです、んッ、全く繋がりがない⁉︎ というわけでもなく。実は、その茅ヶ崎館に来られたお客様の中に、このエッセイを書いてますよぉ〜と紹介して、読んでもらうと、その方からこんな話が湧き出してきたのだった。ほらね、水のように湧き出すとはこのことでしょ。ってどんな話かというと、羊蹄山の水を持っている。というではないか。羊蹄山といえば、北海道を代表する名山、日本百名山のひとつにも数えられている。標高1,898m、容姿端麗な成層火山。富士山に似た姿から蝦夷富士と呼ばれていると倶知安町のホームページに説明が書いてあった。その羊蹄山の湧水を持っている? 汲んできたの? と聞いてみたところ、どうやらそのようです。
  • 早速ですが、羊蹄山の湧水をインターネットで調べてみる。北海道では羊蹄山のふきだし湧水、甘露泉水、ナイベツ湧水の3つが名水百選に選ばれているようで、中でも京極の噴き出し湧水は北海道遺産にも選定されているほどの名水のようだ。しかも、その湧き出る名水を使ったコーヒーがそのすぐそばにある道の駅で販売されているではないか。どれほど美味しいコーヒーが飲めるのだろうか? と想像を膨らましていると、むむ、そのコーヒーは飲まれたのですか?と問うと「飲みました!とっても美味しかったです」。とのこと。まぁ、そういうコーヒーは格別の味がするものだ。それにしても、その羊蹄山の湧水とやら、気になる。前回の利きコーヒーでは違いはわからなかったが、それほどの名水ならば、きっと違うはず。それではお願いですが、その羊蹄山水を少しだけ分けていただけないでしょうか? と懇願したところ、快諾。あくる日、持ってきていただきました。

北の道の駅、名水の郷きょうごく羊蹄のふきだし湧水をここで汲むことができる。

 

 

  • というわけで、早速利きコーヒー会を、と思いきや、忘れてはなりません、すでに僕は別の湧水も手に入れていたのです。茅ヶ崎でコーヒーを出す以上は、神奈川県の水にこだわってみたいと思い、出かけた先は、神奈川県山北町にある、川西屋酒造店さん。丹沢山系水を使って栽培された足柄米「若水」を使い、仕込み水にも同じ丹沢山系水を使った銘酒「隆、白ラベル」を醸造する酒蔵としても神奈川県を代表する酒蔵だ。今回は、その仕込み水を少しお裾分けしていただき、利きコーヒーの会をやってみることにしたという次第だ。

 

丹沢山系水が、何年もかけて山の地層を通って地下水となり、その地下水を井戸で汲み上げて使っている。水質は中硬水。

 

いよいよ試飲、はたして風味に違いはあったのか?!

 

さぁ、今回の利きコーヒー会、羊蹄山の水、山北町の水、そして、茅ヶ崎の水道水と出演する役者は揃ったようなので、早速コーヒーを淹れてみることに。日本百名水に選ばれるほどの名水、使うことでコーヒーの風味にもきっと大きな違いが出るに違いない。利きコーヒーに参加するのは、僕の他に、3名。その詳細は個人情報保護のため内緒です。早速この3つの水でコーヒーを淹れてみる。どれがどの水かはもちろんわからないように、ブラインドテイスティング。まずは香り、うぅ〜ん3つともにそれほど違いを感じることはできない。次にそれぞれをひと口、熱いのでするするッと少しだけ口に含んでみる。ほぉ〜、ん⁈違いを期待したが僕には感じられなかった。えッ⁉︎これじゃぁ前回と同じじゃないか? その通りです、全くわかりません。ただし、ひとりだけ、香りと味に違いがあるということだけは分かった方がいます。ただ、どれがどの水か、採水地まで当てることはできなかった。

見た目、香りそれぞれにほとんど違いはない。口当たりがマイルドとか、喉の通りが滑らかなどといった違いも感じられなかった。

 

水とのペアリングで珈琲の効能や効果を考えるのはどうだろう

 

今回は、かなり期待したのですが、残念なことにまたしても違いはわからなかった。まぁ水の違いに求めるものを単なる風味なのか、それとも成分なのかということも考えるべきかも知れない。天然の名水を使うということは、雪解け水が地層、土壌を何年かかけて通るうに、そこに含まれているミネラルやカルシウム、マグネシウム、鉄や亜鉛などといった栄養素が水に含まれることで、人の体の健康に良い効能、効果が現れるというメリットを生み出すかも知れないからね。

そもそもコーヒーは、古代、薬として用いられたという説ももちろんあるけれど、その効用が明確に解き明かされている様子はない。大学や医薬の研究者がその効用に興味を持ち、一層深い成分分析や研究が進められたなら、コーヒーももっと魅力的な飲み物の原料として進化を遂げることができるかも知れないね。これには個人的にもかなり期待したい所だ。もしもコーヒーの持つ効用、効果が優れていて、それに天然水の効用、効果が加わると最強の薬効効果が期待できるとなれば、より沢山の水を汲み、そして研究することも良いかも知れないね。

さて、いずれにしても、現時点で水の違いによるコーヒーの風味の違いを感じ取ることはできないようだ。水とコーヒーの話はしばしお休みにしよう。えぇ〜たったの2回で勝手に終了ですか⁈  というお怒りの声も飛んできそうですが(~_~;)、ただし、一度気にするとこれまで気にならなかった水源や販売されているミネラルウォーターが気になってしまうようになった。何か新しい発見があったら、また報告しようと思う。

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Writerこの記事をかいた人

金子 智

金子 智

自動車、ゴルフ、建築などをテーマにした雑誌、書籍の編集者として活動するなかで、スペシャルティコーヒーショップ「Blue leaf coffee」をオープン。以来、 コーヒー本来の風味を知っていただくために、各地へ出向き、楽しいイベントの開催なども行なっています。

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