2025.05.01
お城へいざ参ろう! 鶴若まるの鎌倉散策前編


みなさん、こんにちは!
前回の第6城は小机城でしたが、今回のお城へいざ参ろう!は番外編として「鶴若まるの鎌倉散策」をお届けします!それでは参りましょう!
鎌倉は源頼朝が幕府を開いた場所で、「古都鎌倉」として鶴岡八幡宮や鎌倉大仏、小町通り、由比ガ浜など観光スポットがたくさんあります。しかし、今回そうした場所とは違った鎌倉散策に行ってみたいと思います!
鎌倉って城?
平氏打倒の兵を挙げた源頼朝は、1180年8月23日に石橋山の戦いに敗れて安房(千葉県)に逃れます。そこで再挙を図った頼朝のもとに参陣した千葉常胤という御家人が「ここは要害の地でも由縁がある地でもないため、鎌倉へ向かうべきだ」ということを進言したといいます。そして頼朝は10月7日には鎌倉に入り、12月12日に完成した大倉御所に入ります。
頼朝が鎌倉を本拠地にした主な理由としては、常胤が進言した2点が挙げられています。
①要害の地⇒三方を山に囲われ、南側が海という地形であること
②由縁の地⇒源氏が代々東国で拠点にしていたのが鎌倉で、父の義朝も住んでいた場所であること

頼朝の主要な支持勢力の伊豆・相模・房総の武士たちをまとめていくうえで戦略的にも、東国に勢力を拡大した父の義朝の立場を引き継ぐという意味でも、鎌倉を本拠地にすることは重要であったようです。
京都の貴族である九条兼実の日記『玉葉』に「鎌倉城」という記載があることや、鎌倉が山に囲われた守りやすく攻めにくい土地であり、鎌倉の内と外を結ぶ7つの切通(山を削って切り開いた道路)の周囲に切岸などの防御施設を築いたという理解のもと、鎌倉が城塞都市であり「城」であったとも考えられていました。

ただ、近年ではその考え方に変化が生まれ、「鎌倉城」という見方はされなくなっています。
当時の史料で「城」は謀反人のアジトのような意味で用いられることが多く、鎌倉幕府の歴史書である『吾妻鏡』では幕府から見て討伐対象の施設として「城」の文言が登場することから、兼実が書いた「鎌倉城」は「もともと反乱勢力だった頼朝の本拠地」というニュアンスで書いたと考えられるそうです。※1
また2002年の発掘調査で、幕府が三浦一族からの攻撃に備えるために築いたといわれたお猿畠の大切岸が石切り場の跡だったことが確認されました。そして切岸が屋敷地造成のためのものだったことが判明するなど、考古学的に城塞都市とは違う見方になってきています。

お猿畠の大切岸も防衛的な目的が一切なかったとは言い切れず、推測ではあるものの大々的に石切りを行っても、鎌倉を取り囲む尾根を安易に掘り割らずにあえて城壁のように残したという見方もできるようです。※2
鎌倉散策スタート!
今回は横浜横須賀道路の朝夷奈JCT近くにあるハイキングコース入口からスタートします。ちなみに、所要時間はゆっくり歩いたペースになっています。まずは六国峠ハイキングコースを通って大平山に向かいます!

スタートしてからすぐにこのように岩と岩の間を通ったり、巨石が転がっていたりするような道になります。普段よく見る「鎌倉」とは違った風景が広がっています。

50分ほど歩くと大平山に到着します。大平山からは鎌倉の市街地の三方が山に囲われ、南側が海という地形がよくわかります。この日は曇っていたので写真だとわかりにくいですが、中央部分が市街地で奥に海が広がり、市街地をU字に山が囲っています。

鎌倉城や城塞都市ではなかったかもしれませんが、鎌倉は守りやすく攻めにくい土地であり、一方で敵に突破されれば逃げ場がない場所であることが目に見えてわかります。
大平山から20分ほどで「獅子巌」が現れます。獅子がうずくまった形の岩で、かつては瑞泉寺の名勝とされました。瑞泉寺の北方、亀ヶ渕東側の山を「獅子舞ヶ峰」といい、この名前は山上に「獅子巌」があったことに由来しているといいます。


獅子がうずくまっているような、横になっているような…感じ方は見る人次第ですが、鶴若まるは写真の位置から見て左上が頭で上に向かっている獅子のように見えました!
永福寺と義経
鎌倉が山に囲われていることを実感しながら、このような山道を30分ほど歩くといよいよ鎌倉の内に入り、「永福寺」の跡地に到着します。

永福寺は1189年の奥州平泉攻めで亡くなった弟の義経や奥州藤原氏などを弔うために、1192年に頼朝が建てたお寺で、奥州藤原氏が建てた中尊寺の二階堂大堂大長寿院を手本に建てられました。発掘調査により中央に二階堂(本堂)、その両側に阿弥陀堂・薬師堂が並んでいたと推定され、前面には広い池が作られていたことがわかりました。
1405年の火災後は再建されず、現在は公園として整備され、発掘調査の結果をもとに建物の配置がわかるようになっており、池も復元されています。

〇頼朝と義経の対立と奥州藤原氏
義経は平氏との戦いで活躍をしますが、平氏滅亡後に頼朝と対立し、1185年10月に挙兵します。
対立の背景は様々考えられていますが、天皇や神器の保護といった頼朝の構想とは違うかたちで義経が平氏追討したことによる緊張状態があるなか、「鎌倉幕府内での義経の在り方」の考えに相違があったようです。
鎌倉幕府権力が形成されるなかで、後白河法皇とともに独自の軍事体制を構築する危険性のある義経を統制下に置きたい頼朝と、検非違使として京都の治安維持を任され、後白河法皇の寵臣として王権の保護を目指す義経は対立することになります。

その後奥州藤原氏のもとへ逃げて庇護を受けた義経ですが、頼朝に圧力をかけられた奥州藤原氏は義経を討つことを決め、急襲された義経は1189年閏4月30日に自害します。
奥州藤原氏は東北地方で勢力を持っており、頼朝にとって脅威でした。そのため、敵対する勢力をなくして幕府を確固たるものにしたい頼朝によって奥州藤原氏も攻められ、9月3日に滅亡します。
鎌倉に無数にある「やぐら」
ここからは天園ハイキングコースを通って、鎌倉に無数にある「やぐら」を見ていきます!今回は瑞泉寺裏山やぐら群・北条家御一門御廟所(北条首やぐら)・お塔の窪やぐらを見てきました。
やぐらとは、13世紀から15世紀につくられた岩盤を掘り込んだ横穴式の中世墳墓、または供養施設とされています。鎌倉の岩盤は比較的軟らかい性質の凝灰岩(火山灰が固まった岩石)や砂岩、泥岩であるため加工しやすく、多くのやぐらがつくられました。やぐらの正確な数は不明なものの、鎌倉には2000~5000程確認できるそうです。ちなみに、凝灰岩類は「鎌倉石」と呼ばれ、石材として使われました。

瑞泉寺裏山やぐら群は、瑞泉寺裏山の山腹の尾根に連なる約79穴のやぐら群で、写真のようなやぐらがいたるところにあります。やぐらには供養として五輪塔や板碑などが内部に納められていることがありますが、瑞泉寺裏山やぐら群には五輪塔・板碑・仏像が壁面に浮き彫りされているやぐらや、浮き彫りされた五輪塔のまわりを彫りくぼめた跡が残るやぐらなどがあります。

ルートでは瑞泉寺裏山やぐら群→北条家御一門御廟所→お塔の窪やぐらの順ですが、北条家御一門御廟所は次回ご紹介します!

お塔の窪やぐらの内部には凝灰質砂岩製の五輪塔1基と宝篋印塔18基があり、宝篋印塔は鎌倉で最も古い様式に属しており、鎌倉時代前半頃のものと推定されています。
この辺りから先はかなり冒険感のある道が続きますが、今回はここまで!
次回は少し戻って北条家御一門御廟所を紹介し、朝夷奈切通へ向かいます。
参考文献
『神奈川中世城郭図鑑』 戎光祥出版、2015年 ※1)72頁
奥富敬之『鎌倉歴史散歩』 新人物往来社、2001年
高橋慎一朗『鎌倉の歴史』 高志書院、2017年
元木泰雄『源義経』 吉川弘文館、2007年
川合康『源平の内乱と公武政権』 吉川弘文館、2009年
『角川日本地名大辞典14神奈川県』 角川書店、1984年
星野玲子「覚園寺裏山やぐらに関する研究―9基のやぐらを対象としてー」『鶴見大学紀要第4部人文・社会・自然科学編』58号、2021年
朽津信明「エコーチップ試験による文化財石材の硬さに関する研究」『保存科学』第46号、2006年
逗子市教育部社会教育課文化財保護係https://www.city.zushi.kanagawa.jp/shiminkatsudo/bunkazai/1004537/1004538.html (参照:2025年4月22日)※2

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