2021.09.04

真夜中のいちりん 夏の想い出とコンポートとブーケと

 

花との出会いは、一期一会。

いちりん毎に表情は異なるし、季節によって色味も変わっていきます。

 まだ夜が明けていない市場での花達との出会いには,初恋の様なときめきを感じたりします。そんな花たちとの出会いを求めて歩き回るこの時間が僕は好きです。

今回は楽しませてくれた夏の思い出を束ねてみました。どうぞお楽しみください。

フローリスト 飯野学

 

もうすぐ夏が終わってしまう。

 

コロナ禍で趣味のヨットレースも活動が中止になってしまったし、かと言って特に夏の想い出もないんだけどそれでも何となく寂しい。

そう言えば今年は、お福分けにとりわけ多くの桃を頂きました。

今まではそんなに興味はなかったんだけれど、ワインにのめり込んでいくとペアリングという観点から中々興味深い。

 

日本ワインの本場、山梨では桃を硬い状態で食べるんですよね。

最初は意外だったけれど慣れると、今となっては硬くないと落ち着かない。

ハムと合わせたり、熟成が進んだら果汁を絞ってスパークリングと合わせたり、はたまたお菓子を作ったりと桃の熟成によって合わせるワインのバリエーションが増えていき、随分と堪能しました。

 

そんな桃もそろそろシーズンが終わって、ブドウへとバトンを引き継ぎます。

 

ということで、今回はこの夏の食卓を楽しませてくれた桃をオマージュにブーケを束ねました。

 

今回集めたお花は、

・トルコキキョウ(チアライトピンク)

・バラ(モモカ)

・バラ(ジュリア)

・バラ(ショコラロマンチカ)

 

 

・トルコキキョウ(NFマンゴー)

・エキナセア

・セルリア

など。

何となく、桃の色を連想させるでしょう。

ハーブも合わせて、ブーケロンに仕上げていきます。

 

 

束ねたブーケに添えたのが、フレッシュな桃ともう一つはコンポートにした桃を用意しました。

 

 

コンポート(compote:フランス語):ヨーロッパで伝統的に作られる、果物の保存方法。

桃の皮を剥いて、果実をカットして、砂糖水で煮ていくんですがその際に先ほど剥いた皮を入れて煮ていきます。

アトリエ中に甘い香りが漂って、煮汁が何ともきれいなピンクに染まっていきます。

このちょっとしたひと手間が仕上がりに大きく影響してくるし、そんなところは花を活けることに通じているように思います。

 

 

 

さて、3つ揃ったところで撮影を。

この夏の想い出が詰まった1枚が撮れました。

 

皆さんは、どんな夏を過ごしましたか?

 

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Writerこの記事をかいた人

飯野 学

飯野 学

フラワーデザイナー クリエイティブフラワーIINOオフィス代表
「人をもてなす何かをしたい」との想いから、フローリストの世界に入る。小売・市場仲卸で経験を積み、ファッションモデル榊ゆりこ氏主宰のフラワーショップ「bRess」で店長を務める。現在はフラワーデザイナーとして「花を媒体に新しいライフスタイルを提案する」をテーマに、ホテルのエントランスやテレビ番組の装花・雑誌へのブーケ掲載や今田美奈子食卓芸術サロンの講師など多方面で活躍中。世田谷区桜丘のアトリエでは、フラワースクールも開催している。

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