2022.02.19

とことんコーヒー好き 10杯目

ジャスミンの香りがするとか、ブルーベリーやストロベリーの風味が感じられるとか、コーヒーじゃないとか、紅茶のような? とかさまざまな表現があるけれど、とにかくこれまでのコーヒーに抱いていた常識を覆すほどの美味しさを持つ、パナマエスメラルダ農園のゲイシャ・プライベートコレクションはいずれ、幻のコーヒーとして語り継がれるのかもしれないね。

 

古来、コーヒーがそれほど珍重されていなかった時代には、見逃されていたり、それほど違いを感じることがなかったのかもしれない。現代に突如登場して、他のコーヒーを圧倒的に凌駕する美味しさ風味を持つコーヒーとして認知されたからこそ、これほどまでに高価で、貴重なコーヒーとなったのだ。今ではコーヒーのダイヤモンドとも評される「ゲイシャ」は、まさにお宝発見といったとこ路だろう。一生に一度は飲んでみたいと思える、幻のスペシャルティコーヒーとなるに違いないね。

 

僕がコーヒー屋を始めた2010年ごろ、焙煎を頼んでいたコーヒー屋さんのオーナーがこれまで聞いた事がないコーヒーの品種の話をしてきた。その品種の名前が「ゲイシャ」だ。んッ⁇ ん、んッ⁇ ゲイシャ⁇ ゲイシャっていうコーヒー豆があるの⁇ それまで聞いたこともなかった名前を聞いて、それってどこの国で生産されているの? と聞くと、パナマという答えが返ってきた。パナマ⁇ 僕はまだコーヒー屋を始めたばかりで、コーヒー豆の生産国で知っていたのは、ブラジル、コロンビア、エチオピア、イエメン、ニカラグア、グアテマラ、エルサルバドル、タイ、インドネシア、ハワイといった風にコーヒー豆原産地として、よく目にする国名だった。パナマのゲイシャ、ふぅ〜ん、それってどういうものなの? と聞くと、どうやら粒が凄く大きくて、フルーツのような味がして……、そしてもの凄く高いコーヒーだということを説明してくれた。コーヒーがフルーツの味がするって聞いたその時、僕は全く気にもせず、興味も湧かなかった。しかももの凄く高い⁈ 資金もない僕にとって、そんなに高価なコーヒーを手に入れたいとも思わなかった。というわけで、その時の僕は、パナマ産のゲイシャは全くの無関心事として過ぎ去ってしまったわけだ。

ところが、その話が上がった翌年(だった気がするけど(⌒-⌒; ))に、そのゲイシャを手にすることになったのだ。その理由はといえば、お店の移転に伴うものだった。始めた頃に開けていたお店は、カウンター5席、二人掛けのテーブルがふたつ。パンケーキやマラサダ、ナポリタン、ピザ、アイスバインやトマトカレー、庄内焼きそばなど、自分が作れそうな料理を出すいわゆる喫茶店⁇ 今でいうところのカフェ⁇ かなぁ、そういう形態で営業していた。それにしても、今思い返すと、いろんな料理作ってみたなぁ〜(⌒-⌒; )、平田牧場の豚骨を丸一日煮込んでようやく出来る‼︎ と思った瞬間に鍋が大爆発σ(^_^;) して、厨房が豚骨まみれになったこともあった。焦ったわぁ〜(; ̄ェ ̄)。そして何より、コーヒーにはとことんこだわっていた。原産地から直接空輸してもらい、少量は自分で焙煎していた。電気式焙煎機を使っていたが、100gを焙煎すると、店の中が真っ白になるほどの煙、充満するので、窓をもドアも開け放つと、香ばしいいい香りが道に放たれる。こんなに癒される香りが流れているのに、つられて店に入ってくる人、いないなぁ〜(笑)。その後、焙煎量が10kg単位になってきた頃から焙煎は専門の業者に頼んでいた。コーヒーは注文を受けてからミルで挽いていたし、ペーパーフィルターでいっぱい分づつ淹れていた。カップは全てウェッジウッドで揃えていた。小さいけど割とこだわりを持った喫茶店だったことは間違いない。だけど、あまり流行らなかったことは事実だ。そうこうしていると、近所に新しい物件が見つかったわけで、そこで、思い切って移転、そして、スペシャルティコーヒーショップとしてオープンさせることにした。それまでに仕入れていたタイのコーヒーとは全く違う商社との取引が始まったわけだが、そこで判明したのが、それまで使っていたコーヒー豆があまりよくないものだったということ。う、ぅぅ。知らないって怖い。まぁ、気を取り直して、そのスペシャルティグレードコーヒーというのを取り扱い、心機一転始めてみようではないか。というわけでスタートしたのが「Blue Leaf coffee ブルーリーフコーヒー」というお店だった。えッ⁈ ブルーボトル⁇ じゃないよ‼︎

 

 

というわけで、そこをスタートさせたわけ。で、新しく取引を始めた商社で販売されていたのが、ゲイシャ。昨年その噂は聞いていたが、全く食指が動かなかった。設計は一流建築家である増田政一氏にお願いした。当時としては、かなり最先端のお洒落なショップに仕上がっていたんだけどね。興味のある方は、アルクデザイン増田政一をググってください。

ところが、ここでは、なぜか気になった。とても気になった。そこで、商社に尋ねてみた。ゲイシャってどんなコーヒーなの⁇ 。それに最も気にかかるのが価格だった。商社から得られたゲイシャコーヒーの風味や特徴の情報は僅か、とにかく大粒でフルーティであるということぐらいだった。確かに仕入れ価格は高価だが、一度は飲んでみる価値はあるということ。まぁ、ここまで近づいて飲んでみないというのも如何なものかと思い、意を決して購入することにした。そして、早速焙煎をお願いした。ドイツ・プロバット社の焙煎機、ショップロースターで焙煎してもらうことにした。ぼくは、焙煎にもかなりこだわりがあって、焙煎機にもやはりこだわっている。プロバット社生の焙煎機はやはり素晴らしい。何が素晴らしいかっていうと、長くなるので、気になった方は是非ググってください(⌒-⌒; )。ということで、焙煎直後、釜から出てきたゲイシャは、ふっくらと艶やか、全ての焼き肌が揃っていて、美しいコーヒーへと仕上がっていたことを覚えている。見るからに美味しそうだった。焙煎仕立てのゲイシャは、すぐにその場でみんなで飲んでみることにした。初めて飲んだそのコーヒーの味⁇ というか風味⁈ は、まさにこれがコーヒーなのか((((;゚Д゚)))))))というほどの驚きと、感銘を受けるものだった。

 

ゲイシャという品種は、古来エチオピアに自生していたアビシニカ種のコーヒーの種が、どこかの国から国へと長い旅を経て、パナマに渡り、いつしか育てられ、おおよそ2004年頃になって、現代に突如登場し、他のコーヒーを圧倒的に凌駕する美味しさ、ジャスミンのようなフローラルが華やかに香り、ストロベリー、オレンジetc……、その多層になったフルーツの風味が口の中で複雑に絡み、これがコーヒーなのか⁇ と感じさせ、飲み込んだ後には、ブラウンシュガーやキャラメルのような甘味が鼻に抜け、そしてすっきりと消える。ところが、飲み終えた後、ほんのりと口の中にさっきの風味が残っているという不思議なコーヒーだ。これを体感せずにはいられないでしょ⁈ あれから数回、ゲイシャは体験してきた。コーヒー好きでコーヒー屋をやってきて、毎年のようにゲイシャを飲むことができたというのも、実に喜ばしく、ありがたいことと感じている。

さて、ここまでゲイシャのことを書いて、思うのだが、一体このブログを読んでいる人の中に、何人ぐらいそのゲイシャというコーヒーを知っているのだろうか⁇

るいは飲んだ事があるのか⁇ または、読んで興味を惹かれたのだろうか⁇ 飲んでみたいと心動かされただろうか⁇ はたまたもしもそれがどこかで飲む事ができて、しかも身近で、ちょっと時間を作って出かけると、その感動的な体験ができると知ったなら、出かけてみようと思うのかなぁ〜⁇ ということだ。2021年度のゲイシャ、一般的な小売販売価格は、な、な、なんと、100gで6,000円、というところもあったʕʘ‿ʘʔ。なんて高ぃのだろうか、そんなコーヒーを一度でいいから飲んでみたい、そう思う人がいるのだろうか⁇ というわけで、発表しよう‼︎ そのゲイシャが飲めることを。2022年3月、調布ショールームで、その幻となりうるであろう希少なコーヒー「ゲイシャ」が、飲む事ができるよ/(^o^)\詳しい日程は、調布インスタグラムにてチェックを‼︎

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Writerこの記事をかいた人

金子 智

金子 智

自動車、ゴルフ、建築などをテーマにした雑誌、書籍の編集者として活動するなかで、 コーヒー本来の風味を知っていただくために、各地へ出向き、楽しいイベントの開催なども行なっています。
神奈川県茅ヶ崎市の茅ヶ崎館で「珈琲サロン」を主宰している。

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