2022.06.25

お城へいざ参ろう! 湖畔に聳える山城 津久井城 前編①

 

鶴若まる
鶴若まる

みなさん、こんにちは!

前回の第3城は、これまでご紹介したお城とも関係が深い「小沢城」でした。

今回のお城へいざ参ろう!は「津久井城」編です。それでは参りましょう!

お城へいざ参ろう!  小沢城  ある崖上の名城 

津久井城とは

 

津久井城は神奈川県相模原市緑区にあり、現在近くには津久井湖や城山ダムがあります。

北は武蔵国(東京・埼玉)、西は甲斐国(山梨)に接する相模国(神奈川)の西北部に位置しています。付近には八王子方面から厚木・伊勢原を通って東海道に出る「八王子道」と、江戸方面から多摩丘陵を通って甲州街道に達する「津久井往還」が通り、城の真下には水運として重要な「相模川」も流れているという地理的に要衝な場所でした。

 

標高375mの「城山」「宝ヶ峰」と呼ばれる東西に長い独立峰に築かれた山城です。現在残されている遺構は戦国時代のものと考えられており、特に戦国時代の「根小屋式山城」の様子がわかる城と言われています。

津久井湖側からみた津久井城です。

手前の山頂が「本城曲輪」で奥に向けて「太鼓曲輪」「飯縄曲輪」と続いています。

津久井湖に面していない山麓に「根小屋」があります。

 

「根小屋式山城」とは?

山城→独立した山や尾根上などに築かれた城

根小屋→城主や家臣の屋敷地一帯のこと

山城は曲輪(郭)の面積が狭いため、山麓に城主や家臣の屋敷がつくらました。こうした山麓に根小屋を設けた山城のことを「根小屋式山城」といいます。平時は根小屋に住み、戦いとなったら山頂の詰城部に登ります。

 

津久井城の構成

詰城部→「本城曲輪」「太鼓曲輪」「飯縄曲輪」「鷹射場」

根小屋部→西南麓「根本」「城坂」、西北麓「小網」、南麓「荒久」「西荒久」、東南「小倉」「馬込」

 

鶴若まる
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今回の「津久井城」編は、お伝えしたいことがたくさんあるので、これまでと少しだけ違います。

前編では概要や歴史についてご紹介し、後編で実際に行ったお城レポートをお伝えします!

 

津久井城のはじまりは鎌倉時代?

 

 

鎌倉時代、幕府の有力御家人で三浦半島に勢力を持っていた三浦氏の一族である津久井氏によって、津久井城は築かれたと伝えられています。

三浦義明の弟である義行が三浦半島の津久井を所領とし、津久井姓を名乗るようになります。その後、城のある愛甲郡北部が津久井氏の所領となり、義行の子である義胤が津久井城を築いたといいます。

 

鶴若まる
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ちなみに大河ドラマ「鎌倉殿の13人」には、義明の子である義澄(佐藤B作さん)と、義澄の子の義村(山本耕史さん)が登場しています。津久井氏は義澄の叔父の一族ということになります!

 

しかし、三浦半島を拠点とする一族が津久井地域まで勢力を広げていたとは考えにくいとも言われています。また、八王子市域を拠点としていた横山党と呼ばれる一族や、愛甲荘に基盤を持っていた古庄氏が、当時津久井地域に勢力を広げていたことから、三浦津久井氏による築城というのは伝承の域を出ないという状況です。

 

実際にわかっていること

・鎌倉時代後期には、津久井地域は山林資源が豊かだったことから、北条得宗家(時政-義時-泰時…と続く北条本家)の直接支配下に置かれていました。

※当時津久井地域は「奥三保」と呼ばれていました。

・室町時代には、足利将軍家の領地となっていました。1476年から始まった長尾景春の乱(小野路城が落城したという)では、津久井地域に陣取っていた景春方が1478年に撃退されたという記録も残っています。

 

これは本城曲輪にある『築井古城記』の碑です。

ここには、築城の由来や戦国時代の城主である内藤氏の系譜などが刻まれています。いつ建立されたものかは不明ですが、江戸時代の1816年11月28日に文章が作られたと記載されています。写真でも薄っすらと見える「築井古城記」という題字は、寛政の改革を行った江戸幕府老中の松平定信が書いているそうです。

三浦の一族である津久井氏が築城したということも、ここには書かれており、江戸時代からそうした伝承が伝わっていたことがわかります。

 

鶴若まる
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ここからは津久井城が表舞台に登場する戦国時代!

しかし少し長くなりそうなので…前編➁へ続きます!

 

 

 

 

参考文献

『津久井町史 通史編 原始・古代・中世』 2016年、相模原市

『城山町史5 通史編 原始・古代・中世』 1995年、城山町

『津久井城ものがたり』 2018年、神奈川県公園協会

 

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Writerこの記事をかいた人

鶴若まる

鶴若まる

BMW所属の学芸事務員、歴史学科を専攻し三度のフラペチーノより城郭が好きという強者。気になるものは必ず見届ける行動力を持つ。大好きな城は小谷城とのコメントからもうかがえるように,もはや後戻りできない戦国山城女子

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