2026.10.03

BMWずかん M2 小さなボディに、M3・M4の心臓と骨格

BMW M2 アルピン・ホワイト フロント斜め
BMW M2(アルピン・ホワイト)。BMW Chofu の即納サイトに掲載中の一台です。

今回は、BMW M2 を取り上げます。

M2は、2シリーズクーペのコンパクトなボディに、M3・M4と同じエンジンと足まわりを詰め込んだスポーツクーペです。駆動は後輪、ミッションはATに加えて、いまや貴重になったMTも選べます。「このクラスで、この中身」。そこがM2のいちばんの面白さです。

後半では、87台限定の特別モデル「M2 CS」もコラムで紹介します。

M2 の基本スペック

M2(8速AT) M2(6速MT)
エンジン S58B30A 直列6気筒 M ツインパワー・ターボ
排気量 2,992cc
最高出力 353kW〔480PS〕/6,250rpm
最大トルク 600Nm/2,750–5,620rpm 550Nm/2,650–6,130rpm
駆動方式 後輪駆動
全長×全幅×全高 4,580×1,885×1,405mm 4,580×1,885×1,410mm
WLTCモード燃料消費率 10.0km/L 9.8km/L

最大トルクは、ATが600Nm、MTが550Nm。ATとMTで設定が分けられています。

プロポーション:M4と同じ鼻先、短いお尻

BMW M2 真横

M2を真横から見ると、ボンネットがとても長いことに気づきます。これは、エンジンや前の足まわりをM4と共通にしているため。前輪から運転席までの長さは、M4とほぼ同じです。

一方で、後席から後ろはぎゅっと詰めてあります。M4クーペと比べると、全長は約225mm、ホイールベース(前後のタイヤの間隔)は約108mm短い。前席を優先した、走りのためのパッケージです。

M2とM4クーペの長さの比較図。前輪から前はほぼ同じで、M2は後ろが約225mm短く、ホイールベースは約108mm短い

※寸法の差は新型M2発表時の開発値にもとづく目安です。図は分かりやすさのため比率を強調しています。

エンジン:M3・M4と同じ「S58」

エンジンは、M3・M4と同じ3.0L直列6気筒ツインターボの「S58」型。もともとサーキット走行を前提に作られたエンジンです。

  • 3Dプリンターで作ったシリンダーヘッドの中子… 冷却水の通り道になる部分の型を3Dプリンターで作ることで、普通の鋳造ではできない形にできる。軽くなり、冷却水の流れも最適化できる
  • クローズド・デッキ構造のシリンダーブロック… 上面をふさいで剛性を高め、高い燃焼圧力に耐える
  • 350barの高圧燃料噴射
  • ボア84mm×ストローク90mm
BMW M2 真後ろ 4本出しマフラー
Mハイパフォーマンスモデル伝統の4本出しテールパイプ。マフラー内のフラップが走行モードに合わせて開閉します。

ミッション:ATはZFの「M8HP76」、MTも中身はZF

M2のミッションは2種類。8速ATも6速MTも、ドイツの大手部品メーカーZF製です。数字で並べると、性格の違いがよく分かります。

8速AT 6速MT
型式 GA8L76AZ(BMWでの呼び名は M8HP76) GS6L55TZ
もとになったもの ZFの8速AT「8HP」の第3世代 先代M3・M4(F80/F82)のMT
1速/最上段のギア比 5.000/0.640(8速) 4.110/0.836(6速)
ギア比の幅 7.81倍 4.92倍
最終減速比 3.150 3.460
ミッション単体の重さ 89.7kg 44.6kg
組み合わせるエンジンの最大トルク 600Nm 550Nm

8HPとは:遊星ギア4組で8段を作る

8HPは、ZFが縦置きエンジンの車のために作っている8速ATです。BMWでは7シリーズ(F01)から使われ始め、いまでは多くのBMWとMモデルに載っています。

  • 中身は遊星ギア4組と、回転を「つなぐ・止める」ための5つの要素(クラッチ3つ、ブレーキ2つ)だけ。これで前進8段と後退を作ります
  • どのギアでも5つのうち3つをつなぎ、2つは離しておく。離れている要素が少ないぶん、空回りによる引きずりのロスが小さくなります
  • 隣のギアへ移るときは「1つ離して、1つつなぐ」だけ。持ち替えが最小なので、素早く滑らかに変速できます
8速ATの各ギアで、ブレーキA・Bとクラッチ C・D・E のどれをつないでいるかを示した表

マニアックな話をひとつ。BMWの普通のモデルが使う第3世代の8速AT(GA8X76D)は、1速が5.50、ギア比の幅が8.59倍まで広がっています。ところがMの「M8HP76」は、1速5.000・幅7.81倍のまま。幅を広げるより、ギアとギアの間隔を詰めることを選んでいます。回して走るMらしい選択です。

Mのための作り込み

  • ほとんど「直結」で走るトルクコンバーター… ATの発進を受け持つトルクコンバーターに、回転のむらを吸収するねじり振動ダンパーを組み込みました。その結果、エンジンとミッションを直結するロックアップ・クラッチを、ほとんどの走行場面でつないだままにできます。滑りが減り、アクセルの操作がそのまま加速に出ます
  • サーキットを前提にした冷却… オイルパンを樹脂から、大きな冷却フィン付きのアルミ製に。ラジエーターの前には専用のミッションオイルクーラーを縦に置き、配管の太さも見直して流れる量を増やしました。冷却回路のサーモスタットは76℃で開き始め、96℃で全開になります
  • 「惰性走行」はあえて載せない… 普通のBMWには、アクセルを離すとエンジンを切り離して惰性で走る省燃費機能(アイドリング・コースティング)がありますが、Mには載っていません
  • 先読みの変速「コネクテッド・シフト」… ナビの地図情報や前方のレーダーを使い、カーブの手前で早めにシフトダウンして、そのギアを保ちます

ドライブロジック:変速の性格を3段階で選ぶ

シフトレバー横のスイッチで、変速の性格を3段階から選べます。レバーの操作はMのデュアル・クラッチ車と同じパターンで、パーキングはボタンで入れます。

1 2 3
Dモード(自動) 効率重視・穏やかな変速 スポーツ走行・素早い変速 サーキットを含むスポーツ走行・さらに素早い変速
マニュアルモード 穏やかな変速 素早い変速 さらに素早い変速

マニュアルモードでは、回転が上限に届いても勝手にシフトアップしません(速度が下がりすぎたときだけ自動でシフトダウン)。ステアリングのパドルでも操作できます。

ローンチコントロール

止まった状態から最大の加速をするための機能です。マニュアルモードのドライブロジック3で、ハンドルをほぼまっすぐにし、左足でブレーキを踏んだままアクセルを全開に。エンジンが発進に最適な回転で待機し、ブレーキを離すと、アクセル全開のあいだ最短の時間でシフトアップを続けます。

部品への負担が大きいため、新車から5,000kmまでは使わないようBMWが指示しています。続けて使うと、ミッションオイルの温度が下がるまで作動しません。詳しい手順は取扱説明書をご覧ください。

ギア比で見るATとMT

8速ATと6速MTのギア比の並び。ATは幅7.81倍で100km/h巡航は約1,600rpm、MTは幅4.92倍で約2,300rpm
  • 出足はAT… 最終減速比まで含めると、ATの1速はMTの1速より約1割低いギア。発進の力強さはATが上です
  • 高速巡航もAT… 100km/hでの回転数は、ATの8速が約1,600rpm、MTの6速が約2,300rpm(計算上の目安)。WLTCの高速道路モード燃費も、ATの12.1km/Lに対してMTは11.6km/Lです
  • 段の間隔が詰まっているのもAT… ATは隣のギアとの比がすべて1.22〜1.56倍に収まります。MTは1速→2速が1.78倍と大きく開きます。シフトアップしたときの回転の落ち込みが小さいのはATです

それでもMTを選ぶ理由

数字だけ見るとATが上回りますが、MTにはMTの作り込みがあります。

  • 先代M3・M4のMTを、新しいクラッチハウジングで今のエンジンに合わせ直したもの。クラッチは2枚重ねのツインディスク
  • シフトダウンのとき、エンジンが自動で回転を合わせてくれる機能付き。「M SETUP」のギアシフト・アシスタントで、オン・オフを選べます
  • MTにもローンチコントロールがあります
  • ミッション単体の重さはATの約半分(44.6kg)

自分の手足でクルマを操る楽しさは、数字では測れません。このクラスで、480PSの後輪駆動をMTで選べる車は、いまや貴重な存在です。

BMW M2 の6速MTのシフトレバー
M2の6速MT。シフトノブの横の赤いボタンがエンジンのスタート/ストップです。

※ギア比・最終減速比・燃費・トルクは日本仕様の資料の値です。ミッションの重さや冷却の仕組みなどは、BMWの技術資料とZFの公開情報をもとに当社がまとめたものです。

骨格と足まわり:小さな車体を、M4の部品で固める

M2の車体は2シリーズクーペがベースですが、中身はかなり別物です。

  • ボンネットとフロントフェンダーはアルミ製。鼻先を軽くして、ハンドルを切ったときの反応をよくしている
  • エンジンルームに補強のブレースを何本も追加。前の足まわりの土台は、2シリーズクーペの鋼製に対してアルミ製
  • 後ろの足まわりはM3・M4ゆずり。アームはアルミの鍛造で、タイヤまわりの重さ(バネ下重量)を減らしている
  • 後ろの足まわりの土台は、ゴムを挟まずに車体へ直接ボルトで固定。タイヤの向きがぶれにくく、まっすぐ走る安定感につながる
  • 前後の重量配分は 50:50
BMW M2 のエンジンルーム。S58と補強のブレース
M2のエンジンルーム。エンジンはM4と同じS58。上を横切る棒とX字の棒が、前の車体を固める補強です。
BMW M2 ホイールとレッドキャリパー
前19インチ/後20インチの前後異径ホイール。

タイヤはフロント275/35 ZR19、リヤ285/30 ZR20。後ろを1サイズ大きくしているのは、後輪だけで480PSを路面に伝えるためです。

ブレーキは、フロントに6ピストンのキャリパーを組み合わせた「Mコンパウンド・ブレーキ」。ディスクはフロント380mm、リヤ370mmです。

インテリア:前席は本気、後席は実用

BMW M2 運転席まわり
メーターと中央の画面をひと続きにしたカーブド・ディスプレイ。ステアリングには、好みの設定を呼び出す赤い「M1」「M2」ボタンが付きます。
BMW M2 前席
前席はMスポーツシート。サイドサポートの張り出しも調整できます。
BMW M2 後席
後席もきちんと座れる4人乗り。背もたれは40:20:40で倒せます。

走りのモードを自分で組む

  • エンジン、サスペンション、ステアリング、ブレーキの特性を別々に選び、ステアリングの「M1」「M2」ボタンに記憶できる
  • 「Mモード」でRoad/Sport/Trackを切り替え。Trackでは運転支援を切り、表示を走りに必要な情報だけに絞る
  • 10段階で効き具合を選べる M トラクション・コントロール、ドリフトを採点する M ドリフト・アナライザー、周回タイムを計る M ラップタイマー

COLUMN

M2 の頂点「M2 CS」

2025年10月、M2をベースにした特別モデル「M2 CS」が、日本国内87台限定で発売されました(¥14,880,000・税込)。「CS」はCompetition Sport。後席を外してまで軽くする「CSL」と違い、後席を残したまま走りを磨いたモデルです。

M2(AT)とM2 CSの比較。最高出力480PSから530PS、最大トルク600Nmから650Nm、フロントブレーキディスク380mmから400mm
  • エンジン… 過給圧を上げるなどのチューニングで+50PS・+50Nm。エンジンマウントも専用品
  • 軽量化… 塗装や部品を付ける前の骨格(ホワイトボディ)の段階から軽くし、ルーフ・トランクリッド・ミラーキャップ・リヤディフューザーをカーボン化。合計約30kg(設計値)
  • ダックテール… 後端が跳ね上がったカーボン製トランクリッドで、高速域の安定性を高める
  • 足まわり… 車高を下げ、横滑り防止装置などの制御を一新。前19/後20インチの鍛造ホイールにトラック・タイヤ、カーボン・セラミック・ブレーキ(前400mm/後380mm)
  • あえて外した装備… 前のクルマを追いかけるアクティブ・クルーズ・コントロールと運転支援のパッケージを外し、ブレーキ機能付きのクルーズ・コントロールに。「走りに関係の薄いものは載せない」割り切り

2026年8月には、さらに40台限定の「M2 CS Edition EDGE」(¥16,630,000・税込)も発表されました。

※0–100km/h加速などの欧州仕様値は記載していません。M2のブレーキ径は新型M2発表時の値です。


まとめ

  • M3・M4と同じS58エンジンと足まわりを、コンパクトな車体に
  • 後輪駆動、そしてMTも選べる
  • 前席優先のパッケージと50:50の重量配分
  • さらに上を求めるなら、87台限定のM2 CS

この記事の写真のM2(アルピン・ホワイト)は、BMW Chofu の即納サイトに掲載中です。
▶ このM2の在庫情報を見る(BMW Chofu 即納サイト)
M2について詳しく知りたい方は、BMW Chofu のスタッフまでお気軽にお問い合わせください。

※外観・内装の写真はBMW公式の車両画像(CG)、エンジンルームなどの写真はBMW Chofu の実車で撮影したものです。実車とは色味などが異なる場合があります。
※諸元は2026年8月以降生産の日本仕様の値です。価格・仕様は予告なく変更される場合があります。最新の情報はBMW Chofuまでお問い合わせください。

合わせて読みたい!

一覧へ戻る